週に1度、中小企業診断士として区役所の経営支援課に常駐し、
創業希望者の融資相談に乗っています。
相談者と一緒に開業計画書を作成していく仕事です。
この仕事を通じて、コンサルティングに必要なコミュニケーション
スキルが徐々に、でも確実に磨かれていっているのではないか、という
感覚を持っています。
面談日当日まで、どんな方がどんな相談を持ってこられるか全くわかりません。
性別、年代、ご性格、業種、キャリア、自己資金額、希望融資額。一人として
同じ方はいません。
先日は4件のご相談にのりました。
ご夫婦で商店街に、和テイストなカフェを開業予定の方。
高校を卒業して10年以上務めた会社から独立、建設業
を立ち上げたたたき上げガテン系男性。
短時間で、その方と信頼関係を築き心を開いて「お金のこと」を
語っていただけるよう、コミュニケーションを取る必要があります。
弊社にマーケティング・コンサルティングを依頼されるお客様との
決定的な違いは、
来所される相談者の方が、私のことを「区役所の一スタッフ」として
みている点です。
実際に、多くの方は緊張の面持ちで顔をこわばらせて窓口にお越しになられます。
面談中も言葉が出なかったり、笑顔が最後まで出ない方も多くおられ
ます。
質問をしても「ああ、そうです。」「いや、ちがいますね。」とだけ
しか答えられない方もいらっしゃいます。
それが、大体2回目の面談の途中で表情がかわり打ち解ける瞬間がみられ
るようになります。
「実は、役所の人と聞いてすごくぶっきらぼうに対応されるんじゃないか
と思っていたんですよ。ほっとしました。」
「友人からいじめられるから覚悟しておいた方がいいよ。と脅されてきま
した。」
(区役所の方の名誉のために言っておきますが、今の職員さんは皆、もの
すごく対応が丁寧ですよ!)
ご相談者の頭の中には、なぜか否定的なイメージがあるのですね。
まだまだ試行錯誤の最中ですが、短時間で心を開いてもらうために心がけ
ていることがあります。
笑顔
初対面時、まずはにっこり微笑みながら名前を名乗り名刺を渡します。
これだけで、女性、特に同年代のご相談者はリラックスされることも
あります。
「この人になら、何でも話せそうだ」と思っていただける第一印象を与える
ことがとにかく大事です。
具体的なほめポイントを探しまくる
相談者が作成してこられた開業計画書や資金繰り表を見る時には、
どんな小さな点でも必ず褒めるようにします。
たとえば「よくそこまで丁寧に調べ上げて競合の分析をしましたね。
素晴らしいです!」「運転資金を4か月先の分まで想定して創業時の
資金を計算されたんですね。とても手堅いですね。」
稀に、どこを褒めたらよいか困ってしまう方もいなくもないのですが、
そんな時でも「字がきれいですね」「数字の桁が揃っていて読みやすいで
すね」や直接関係ない「お持ちのバッグは素敵ですね!」まで、褒め
ポイントを探して探して褒めます。
“全身耳”状態で、その方のバックグラウンドをきく
「なぜ起業しようと思われたのですか。」「独立はどんなことがきっかけ
だったのですか。」というその方の創業の背景を聞く質問をすると、とても
詳しく丁寧にお話ししてくださる方が多いです。
おそらくこれまで創業準備を進めていく中で、家族や友人など周りの人から
少なからず反対にあったり異論を唱えられたりしたことで、孤独を募らせて
いる方が多いからだと思います。
ただ聞くだけではなく、この時は120%の集中力で真剣に耳を傾けます。
まさに”全身耳”状態です。
たとえその時は短い説明で終わった方も、こちらが真剣に聞き、心から
共感すると、後日ガラッと打ち解けて心を開いてくださったりするものです。
「実はカミさんに計画書の『セールスポイント』の箇所、見てもらったら
たくさんダメだしされたんスよ。」
と初めてプライベートなことを教えてくださったのは3回目の相談の男性。
初めてお会いする様々なタイプのご相談者とのコミュニケーションを
取らなければならない相談業務は、「恰好の修業の場」ともいえます。
中小企業診断士になって独立したばかりの方や、これから中小企業診断士
をめざされる方、ぜひこの相談業務に携わられることをお勧めします。
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★☆編集後記☆★
ブログの「メニュー」にある「管理人プロフィール」に【さらに詳しい
プロフィール】を追加していますが、それを加筆しました。
皆さん、気づいてくれているでしょうか^^?
★☆今日のONTAD☆★
プロフィールの情報更新
*“ONTAD”とは”One New Thing A Day”、
文字通り1日1つ新しいコトの体験を記録していきます。
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