Amazonの高レビュー通りの良書でした。
経営の数字に弱い起業家1年生だけでなく、
教える仕事に携わる診断士にとっても学ぶ点が満載でした。
「『数字』が読めると本当に儲かるんですか?」
数字オンチのための「儲かる会計」が肌感覚でわかる本
「『数字』が読めると本当に儲かるんですか?」はどんな本?
著者は、古屋悟司氏。
楽天市場でネットショップ「ゲキハナ」を運営される経営者さんです。
ずっと赤字が続いていた花関連のウェブショップを、1人の税理士
さんから固定費・変動費から限界利益を教えてもらい、
赤字の原因を1つひとつ解き明かし、対策を打っていくことで、
黒字体質に変わっていくまでが、
著者の語りと税理士さんとの会話形式のやりとりで進められていき
ます。
さらに各章の最後に「案内人」として共著者の公認会計士・田中靖浩氏
が解説を加えています。
Amazonの多くのレビューにある通り、実にわかりやすく書かれて
います。
本の帯にある「これまで、どの会計の本を読んでも理解できなか
った人へ」というコピーは、まったくウソじゃないな、と思いました。
わかりやすさの理由 数字オンチの思考プロセスを白日のもとに晒したこと
この本が多くの人からわかりやすいと支持された理由は、「変動費」
「固定費」「限界利益」といった会計の数字が苦手な人にとって、
その概念が「腹落ち」するのを妨げている箇所を主人公古屋さんのセリフ
によって、見事に白日のもとにさらしているからです。
例えば限界利益額の出し方について税理士の先生から
「売上額-変動費の額」
という小学校で習った算数レベルの計算方法を教えてもらった時、
古屋さんは、売上額と変動費の額がそもそもいくらなのかを理解して
いないと計算できないじゃないか、と疑問を投げます。
すると先生が、では店で取り扱っている或る売価2000円の観葉植物
について、それが1個売れた時の売上、変動費を出し、そこから限界
利益額を計算してみようと提案するのです。
その計算式もすべて丁寧に書かれています。
自分が実際に販売している商品1個売れた時の限界利益額を手計算
で出させることで、
その商品が実際どの位の儲け力があるか、儲け力とはどういうこと
なのかを腹落ちさせているのです。
読者は、彼の思考プロセスや実際の計算を共に疑似体験するので、
よりわかりやすいと感じるのです。
診断士にとっても学ぶ点が満載な理由 初心者に専門分野を教える時の参考になる
この本は、私ら中小企業診断士のような経営診断する立場の人間にとっても
起業間もない経営者や事業主を指導する際にとても役立ちます。
特に、自分の専門分野をわかりやすく指導する上では、
時に専門分野であるがゆえに、ベースとなる基本知識が教えられる側
にそれなりにあると思ってしまいがちだからです。
ぶっちゃけ私は診断士の中でも財務会計は苦手で専門分野ではないので、
この本の「限界利益」の章では、教えられる側の古屋さんの疑問が
とてもよくわかりました。
一方、自分の専門分野のマーケティングコミュニケーションでは、
マーケティングが苦手な方の「思考のひっかかりどころ」にどこまで
親切に対応できているだろうか・・・と考えてしまいました。
その意味では、特に創業セミナー等で管理会計を教えている診断士
の先生方にぜひ読んでほしい本です。
「『数字』が読めると本当に儲かるんですか?」
数字オンチのための「儲かる会計」が肌感覚でわかる本
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★☆執筆後記☆★
日曜日、母の78回目誕生日を浦和の和食店でお祝い。
変わらず元気でオシャレ好き。和牛旬菜コースをぺろり
と平らげていました。
★☆お知らせ☆★
―「コンサルティング」
診断士資格を取った後の独立、キャリア相談も。
現在10月2日(月)からご予約を受付けています。
https://go-instillblog.com/one-time-consulting-at-instill/
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★☆昨日のパワーアップアイテム☆★
松月堂 「栗きんとん」。本「ヒルビリーエレジー」
*「パワーアップアイテム」とは?
https://go-instillblog.com/review-of-superbetter/
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